vol.6 第六回 「やはり安心」

ホテルに戻った私が真っ先にしたことと言えば、そう、帰宅後に治療してもらう歯科医院の予約でした。とにかく一刻も早く安心を得たいですからね。
治療をお願いしたのは、もちろん、顕微鏡歯科ネットワークジャパンのメンバーです。渋谷区恵比寿にある山口義徳先生の医院です。自宅からも近いので通院しやすく助かります。

予約の朝は早起きして治療に備えました。診療室には何度か伺ったことがあるのですが、治療を受けるのは初めてです。スタッフとも顔見知りなので少し照れくさいけれど安心できます。
有名プロスポーツ選手が何人も通うその診療室は恵比寿駅から徒歩5分ほどのビルにあります。室内は完全個室で治療ブースと予防ブースに分かれています。今回の私は当然治療ブースに通されます。大きい窓のある明るいその部屋には治療映像録画装置、プレゼン用大画面モニターとアシスタント用モニター、そして顕微鏡が完備されています。

今迄の経緯を一通り説明して山口先生から多いに同情して貰って治療開始です。もちろん、グローブは新しいものです。やはり、こうでなくっちゃね。
治療椅子の背もたれが徐々に横になり、顕微鏡が目の前に降りて来て治療開始です。下顎の最後方の歯ですから顕微鏡治療と云えども見えにくいのですが、山口先生はつぶさに観察してくれます。元々は歯牙破折していたのが原因なので、その破折線の様子を録画映像の再生をしながら丁寧に説明してくれました。本来は抜歯すべき状況と思われましたが、検討の結果、保存して冠を被せることになりました。
グラスファイバーとレジンで土台作りをして型取りと進んでいきます。その全ての行程が顕微鏡下で精密に行なわれ、録画映像でその説明がなされる。実際に自分が顕微鏡歯科治療を受ける立場になって改めてその情報共有能力の高さを再確認することになりました。自分の治療の詳細を、自らの眼で確認できるのですから、究極のインフォームドコンセントですよね、これは。
型取りから2週間、出来上がってきたセラミックの冠を装着して私の中学生以来の本格的な歯科治療は無事終わりました。

毎日自分が行っている顕微鏡歯科治療ですが、患者になるのは初めてのことであり、とても貴重な経験になりました。常に顕微鏡で観察することで刻一刻と変化する口腔内の状況に適格な判断を下し、それに応じた処置をしていく。そして治療映像を患者本人と一緒に見ながら情報共有をすすめ、治療方針を決定していく。患者本人も術者任せにするのではなく自らも責任を持って治療に参加していく。顕微鏡歯科治療とはコミュニケーションを積み重ねながら進めていく治療であると定義してもいいかもしれません。
予定より長くなってしまった連載ですが、これで終わりです。貴重な体験ではありましたが、再びこのような目に遭わなくて済むように願っています。だって、あの痛さはもう二度と味わいたくないですからね!

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  4. vol.1 第一回 顕微鏡歯科医が治療を受けるとき
  5. vol.4 第四回 「手は洗います、たしかに。」
  6. vol.8 第二回 「三大激痛(後半)」
  7. vol.3 第三回 「いい歯医者さんはどこに」

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